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【2026/06/10 16:28 】 |
ブリキ男の心無い愛を魔女に ep 2 ー魔女の過去ー 
魔女に憧れていた。
魔女が好きだった。
あの映画の魔女のように、箒にまたがって飛んでみたかった。
人助けをして、みんなを笑顔にして好かれたかった。
それに黒猫とも喋ってみたかった。
でも実際の私は、魔女とは掛け離れていた。

憧れていたのは幼稚園の頃からだっただろうか。
幼い子供たちがヒーローを望むように、私もその一人だった。
テレビでやっていた魔女の映画に見惚れた私は、
箒にまたがり飛ぶ真似をしたり、野良猫に話しかけるなど、
当時はそれで魔女になれると思っていたものの、
今思えばとても恥ずかしい。
でも、あの頃の私は本気だったのだ。
『魔女』という存在、私にとっての『魔女』のイメージ。
それは私の中でとても大きな物だった。

しかし、それも失いかけてしまう。
成長を重ねるにつれて、現実を見るようになってきたのだ。

私の容姿は大してよくない。悪い方なのだろう。
私は特徴的な容姿をしていた。
そのせいか私は中学校に入りいじめられ始めた。
毎日のように容姿を馬鹿にされた。
それはどんどんエスカレートしていった。
悪口だけではなく、殴られたりもした。
過酷だった。
ましてや家はとても厳しい。
良い成績などを出さなければ、見向きもされない。
学校では「お前は醜い。」と罵られ、家では「お前は出来損ないだ。」と罵られ。
休む場所などどこにもなかった。
長い時間が経ち、卒業した私は、
気づけば対人恐怖症となっていた。

「人が怖い。」

だけども、

「誰かに居て欲しい。」

そう思っていた。
矛盾し、交差する思い。
どちらが勝り、どちらが負けるのか。
このまま同じような生活が続くのだろうか。

中学校生活の三年間で多くのものを失った。
そして私、風木彩花は『醜いの魔女』へと変わったのだ。

ブリキ男の心無い愛を魔女に ep 2 ー魔女の過去ー 完
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【2012/03/18 04:13 】 | 未選択 | 有り難いご意見(0)
ブリキ男の心無い愛を魔女に ep 1 ーブリキの過去ー

過去に縛られていた。
過去に捕らわれていた。
つい最近の自分は、過去が苦手で仕方なかった。
思い返す度、子供のように地団駄を踏み、暴れた。
暴れて自分を傷つけるほど、過去の自分が嫌いだった。

そんな俺に一体何があったのか。
そう、あれは6年前のあの中学校での生活にさかのぼる。

当時、その中学校に転校してきた当初の俺は、皆から「転校生は珍しい。」ということでチヤホヤされていた。
俺は『転校する前不安でいっぱいだったが、皆のおかげで学校生活は安定するかも。』なんて思っていた。
しかし、それも崩れさる。
チヤホヤされている俺が癪に障ったのか、ある男子グループが俺に執拗ないじめを始めた。
とても苦痛だった。
物を盗られ、殴られ、悪口は言われ、笑いものにされ。
いつしか、チヤホヤと優しくしてくれた皆さえ、そいつらと一緒に嘲笑うようになった。
安定すると思っていた中学校生活は、深い傷を残す中学校生活となり変わった瞬間だった。
やがて先生にも見放され、他の奴らにはめられた俺は、先生から説教と体罰を受けた。
心が痛み、身体までもが痛み、痛みが和らぐ場所など存在しなかった。
死を望み、生を嫌い、ただ不幸にあやつられるがまま生きていた。
度重なる苦痛に比例するかのように、俺の精神や心はやつれていき、小学校当時のような笑顔や泣き顔など、もはや出来ないような状態になっていた。
そんな生活を三年間してきた俺は、『卒業』という言葉に誰よりも先に手を差しのべるほど、助けを求め、祈るようにその『卒業』を待ち続けた。
そして『卒業』の日、俺は解放された。
やっとの思いで解放された。
しかし、あの頃のように泣くことなどなかった。笑うこともなかった。
ましてや、嬉しくもなかった。
泣けない。
笑えない。
嬉しくない。
いうなれば、感情を失ったかのような。
『卒業』という特別で感情的なフレーズでさえ、どうでもよく感じる。

「こんなのどうでもいい。」

中学校生活の三年間で多くのものを失った。
そして俺、東山直光は、晴れて『心のないブリキ』へと変わったのだ。


ブリキ男の心無い愛を魔女に ep 1 ー過去ー 完
【2012/03/07 01:42 】 | 未選択 | 有り難いご意見(0)
ブリキ男の心無い愛を魔女に ep 0 ープロローグー
ごく普通に平凡な生活をしている人にさえ、憧れと夢を抱いていたあの頃。
自分はとても不幸な人間だと罵っていたあの頃。
暗い過去と未来を目前にして、嘆いていたあの頃。
まるで宇宙にいるかのような暗さに、不安と寒さを覚え凍えていた。
これから先も凍え続けるはずだった。
現れたんだ、なにもなかった宇宙に。
暗くなにも見えない場所に。
寒く凍えてしまう場所に。
大きな光と暖かさを持つ存在に。
『太陽』といわんばかりの、大きな存在に。

ブリキ男の心無い愛を魔女に ep 0  ープロローグー 完
【2012/02/12 01:45 】 | 未選択 | 有り難いご意見(0)
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