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魔女に憧れていた。
魔女が好きだった。 あの映画の魔女のように、箒にまたがって飛んでみたかった。 人助けをして、みんなを笑顔にして好かれたかった。 それに黒猫とも喋ってみたかった。 でも実際の私は、魔女とは掛け離れていた。 憧れていたのは幼稚園の頃からだっただろうか。 幼い子供たちがヒーローを望むように、私もその一人だった。 テレビでやっていた魔女の映画に見惚れた私は、 箒にまたがり飛ぶ真似をしたり、野良猫に話しかけるなど、 当時はそれで魔女になれると思っていたものの、 今思えばとても恥ずかしい。 でも、あの頃の私は本気だったのだ。 『魔女』という存在、私にとっての『魔女』のイメージ。 それは私の中でとても大きな物だった。 しかし、それも失いかけてしまう。 成長を重ねるにつれて、現実を見るようになってきたのだ。 私の容姿は大してよくない。悪い方なのだろう。 私は特徴的な容姿をしていた。 そのせいか私は中学校に入りいじめられ始めた。 毎日のように容姿を馬鹿にされた。 それはどんどんエスカレートしていった。 悪口だけではなく、殴られたりもした。 過酷だった。 ましてや家はとても厳しい。 良い成績などを出さなければ、見向きもされない。 学校では「お前は醜い。」と罵られ、家では「お前は出来損ないだ。」と罵られ。 休む場所などどこにもなかった。 長い時間が経ち、卒業した私は、 気づけば対人恐怖症となっていた。 「人が怖い。」 だけども、 「誰かに居て欲しい。」 そう思っていた。 矛盾し、交差する思い。 どちらが勝り、どちらが負けるのか。 このまま同じような生活が続くのだろうか。 中学校生活の三年間で多くのものを失った。 そして私、風木彩花は『醜いの魔女』へと変わったのだ。 ブリキ男の心無い愛を魔女に ep 2 ー魔女の過去ー 完 PR |
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過去に縛られていた。 過去に捕らわれていた。 つい最近の自分は、過去が苦手で仕方なかった。 思い返す度、子供のように地団駄を踏み、暴れた。 暴れて自分を傷つけるほど、過去の自分が嫌いだった。 そんな俺に一体何があったのか。 そう、あれは6年前のあの中学校での生活にさかのぼる。 当時、その中学校に転校してきた当初の俺は、皆から「転校生は珍しい。」ということでチヤホヤされていた。 俺は『転校する前不安でいっぱいだったが、皆のおかげで学校生活は安定するかも。』なんて思っていた。 しかし、それも崩れさる。 チヤホヤされている俺が癪に障ったのか、ある男子グループが俺に執拗ないじめを始めた。 とても苦痛だった。 物を盗られ、殴られ、悪口は言われ、笑いものにされ。 いつしか、チヤホヤと優しくしてくれた皆さえ、そいつらと一緒に嘲笑うようになった。 安定すると思っていた中学校生活は、深い傷を残す中学校生活となり変わった瞬間だった。 やがて先生にも見放され、他の奴らにはめられた俺は、先生から説教と体罰を受けた。 心が痛み、身体までもが痛み、痛みが和らぐ場所など存在しなかった。 死を望み、生を嫌い、ただ不幸にあやつられるがまま生きていた。 度重なる苦痛に比例するかのように、俺の精神や心はやつれていき、小学校当時のような笑顔や泣き顔など、もはや出来ないような状態になっていた。 そんな生活を三年間してきた俺は、『卒業』という言葉に誰よりも先に手を差しのべるほど、助けを求め、祈るようにその『卒業』を待ち続けた。 そして『卒業』の日、俺は解放された。 やっとの思いで解放された。 しかし、あの頃のように泣くことなどなかった。笑うこともなかった。 ましてや、嬉しくもなかった。 泣けない。 笑えない。 嬉しくない。 いうなれば、感情を失ったかのような。 『卒業』という特別で感情的なフレーズでさえ、どうでもよく感じる。 「こんなのどうでもいい。」 中学校生活の三年間で多くのものを失った。 そして俺、東山直光は、晴れて『心のないブリキ』へと変わったのだ。 ブリキ男の心無い愛を魔女に ep 1 ー過去ー 完 |
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ごく普通に平凡な生活をしている人にさえ、憧れと夢を抱いていたあの頃。
自分はとても不幸な人間だと罵っていたあの頃。 暗い過去と未来を目前にして、嘆いていたあの頃。 まるで宇宙にいるかのような暗さに、不安と寒さを覚え凍えていた。 これから先も凍え続けるはずだった。 現れたんだ、なにもなかった宇宙に。 暗くなにも見えない場所に。 寒く凍えてしまう場所に。 大きな光と暖かさを持つ存在に。 『太陽』といわんばかりの、大きな存在に。 ブリキ男の心無い愛を魔女に ep 0 ープロローグー 完 |
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